こころの病気と食べ物と。 本や雑記の山。

目覚ましの鳴らない朝

動かない日

というのもあっていい。
だって今は休養しているのだから。

今日は動けなかった。
動く気がしなくて。
代わりに本ばかり読んでいた。それか寝ているか。

やっと以前からちょこちょこ読んでいた本を読了した。

辻仁成の「代筆屋」(幻冬舎文庫)

ちょうど倒れる前日に、本屋に寄って思わず衝動買いした本だった。
緑の表紙に大きく「代筆屋」と書いてあるシンプルな表紙。
でもその中身に強く引かれた。
作者はまだ売れない頃に「人から頼まれた手紙を作る」という仕事=「代筆屋」をしていたらしい(これが設定なのか本当なのか分からないが)
その内容について、何件かの例を挙げて綴られてる本だ。

ラブレターから遺書まで。
いろいろな年齢の男女のこころに入り込んで、代筆する。
それは並大抵の想像力ではできないことで、たしかに小説家の練習にはもってこいのものだろう(そう著者も書いている)

私も物書きの端くれなので、代筆のようなことをしたことが数回ある。
仕事でもよく代筆というかゴーストライターのようなことをしているので、その人の文章の癖とか、接続詞の使い方とか、文章の持っていきかたとかそういうののサンプルをある程度知って、その人自身をある程度理解すればなりきって書くことも何とかできる。

だからこの本は同じようなことをしている身としてはとても興味深かった。

そして、著者と同感だと思ったのは、「手紙」の重要性。
今は便利な世の中になったから、連絡手段はいくらでもある。
電話、メール、携帯のメール、ファックス…。
早く確実に情報を伝達する方法がいくらでもある。
でも、書き手のこころや背景を伝えるのには「手紙」というもの以外に最強なものはない。手書きの手紙には何とも言えない力があるというのは私も同感である。
電子メールならすぐ捨てることができても、手書きの年賀状や手紙はなかなか捨てられないという人が多いのではないだろうか。
そして、メールだったら1回読んだらそのままかもしれないけれど、手書きの手紙は思わず何度も読み返してしまう人が多いのではないだろうか。

もちろん、手書きの手紙を書く方にもエネルギーが要る。
でもそのエネルギーは相手にきっと伝わる。

今でも大事なことは私は手書きで手紙を書く。
年賀状の宛名も、プリンタで打ち出せばものの5分で終わるだろうところをわざわざ毛筆で書く。別に字がきれいでもなく、どちらかというとまずい方なのだが。
こころを込めたいから。それだけの自己満足で。

全ての人が言葉によるコミュニケーションを得意とするわけではない。
だから現代でも「代筆屋」さんというのは存在していて、ネット上でもいくつか見つけた。
でも、もし本当に自分のこころを伝えたかったら、それがどんなに稚拙な言葉であろうとも、手書きで一言でもいいから書いて渡したら、多分それが一番効果的なんだろうとも思った。

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PROFILE

藤原 湊

  • 作者:藤原 湊
  • こころの病気をいろいろ経験してきました。
    うつ病治療中。
    2回目の休職の後、リハビリ出勤中。
    ラクト・オボ・ベジタリアンです。
    副業で作家志望。
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